中国消費トレンド激変!「内巻」競争とコスパ重視、日本企業への影響は?

経済・ビジネス

「最近の中国経済って、なんだか停滞しているって聞くけど、実際どうなの?🤔」「爆買いとか、派手な消費のイメージがあったけど、今は違うの?」「中国でビジネスをするのって、ますます大変になっているのかな…?」

そんな風に、お隣の国・中国の経済や社会の変化について、気になるけどよく分からない…と感じている方も多いのではないでしょうか。今日の音声配信(ニュースレーター・ウィズニッケー コラボ放送)では、NQN香港の福井環記者をゲストに迎え、まさにそんな中国の「今」を映し出す、消費トレンドの劇的な変化について深掘りしました。

今回のテーマは**「最新中国商品。コスパと口コミを重視」。かつての「メンツ重視」で豪華さを競い合った消費スタイルから、いかにコストパフォーマンスを重視し、SNS上の口コミを頼りにする消費へと変化しているのか。そして、その変化が生み出す「内巻(ネイジュアン)」**と呼ばれる過酷な消耗戦の実態とは?

この記事では、音声配信の臨場感をそのままに、福井記者の現地での肌感覚や専門家の視点を交えながら、一つ一つのキーワードをじっくりと解説していきます。変わりゆく中国の消費者のリアルな姿と、それが日本企業に与える影響まで、一緒に深く理解していきましょう!


中秋節に見る中国消費の変化:「見栄」から「実利(コスパ)」へ

配信で語られたポイント:月餅もシンプル・ヘルシー志向に

まず福井記者が切り出したのは、中華圏で非常に大切な季節のイベント**「中秋節」の変化について。日本のお月見にあたるこの時期、中国では「月餅(げっぺい)」**という伝統的なお菓子を贈り合う習慣があります。

音声の雰囲気 福井記者: 「昔はメンツを大事にするために、会社同士とかも送ったりとか、かなり立派な箱に入ったものを送ったりだとか…そういうちょっと過剰に豪華にするっていうのが中国の消費を支えていた…ところがあるんですが、最近は月餅もシンプルなものが売れていたりだとか…」

かつては、いかに豪華で見栄えのする月餅を送るかが重要視されていたのが、最近では包装も中身もシンプルなものが好まれ、さらには高カロリーな伝統的な月餅よりも、小さめサイズや健康志向を謳ったものが人気を集めているのだとか。

音声の雰囲気 福井記者: 「日本でもそうかもしれないんですが、コスパ?コストパフォーマンスを重視しますっていう人たちが増えているようなんですね」

まさに、中国の消費者の価値観が**「見栄」から「実利(コスパ)」へと大きくシフト**していることを象徴するエピソードですね。

耳ログ解説:なぜ消費マインドが変化したのか?

この変化の背景には、中国経済の減速と、それに伴う将来への不安感があります。不動産市場の不況や、若者の高い失業率などを受け、多くの人が財布のひもを固く締め、より賢く、無駄のない消費を心がけるようになっているのです。(出典:日本貿易振興機構(JETRO)「2024年の中国経済見通し」

また、ゼロコロナ政策を経て、健康への関心が高まったことも、ヘルシー志向の月餅の人気に繋がっていると考えられます。

感じたポイント👌 なるほど、月餅一つとっても、経済や社会の変化が色濃く反映されるんですね。見栄やブランドよりも、自分にとって本当に価値のあるもの、納得できるものを選ぶ。これは日本でも強まっている傾向ですが、中国ではより急速に進んでいるのかもしれません。


「内巻(ネイジュアン)」とは?過酷すぎる中国の消耗戦を解説

配信で語られたポイント:内側で潰し合う不毛な競争

次に登場したのが、今の中国経済を理解する上で非常に重要なキーワード**「内巻(ネイジュアン)」**です。

音声の雰囲気 福井記者: 「中国語でネイジワンって…日本語ではわかりやすく『内巻』って今回は読もうかと思うんですけど…内側で潰し合いになっているっていうような、競争しても不毛な状態になっているっていうのを表す言葉として最近よく使われます」

市場のパイがこれ以上大きくならない中で、企業同士が生き残りをかけて、過酷で不毛な競争、まさに消耗戦を繰り広げている状態を指す言葉だそうです。2020年頃から使われ始め、今では経済用語としても定着しつつあるとのこと。

耳ログ解説:EV値下げ競争からフードデリバリーまで

具体的な「内巻」の例として、配信では2つのケースが挙げられました。

  1. EV(電気自動車)の値下げ競争: 今年5月、EV最大手のBYDが値下げを発表すると、他のメーカーも追随せざるを得なくなり、体力のない企業を疲弊させるような価格競争に発展。当局が注意喚起する事態にまでなったそうです。
  2. フードデリバリー競争: 日本以上に生活に根付いている中国のフードデリバリー市場に、今年、新たな大手(動画投稿アプリの抖音(Douyin)、TikTokの中国版)が参入。既存の美団(Meituan)などとの間で、顧客獲得のためのクーポン乱発合戦が勃発。「実質タダでも注文できる」という、まさに消耗戦が繰り広げられたとのこと。

市場が成熟し、成長が鈍化すると、企業間の競争は必然的に激しくなります。しかし、「内巻」は単なる競争ではなく、過当競争によって業界全体が疲弊し、誰も得をしない状況に陥っていることを示唆しています。(出典:日経ビジネス「中国で『内巻』まん延 消耗戦で疲弊する社会」 – ※類似テーマ記事例)

感じたポイント👌 「内巻」、初めて聞きましたが、すごく現代中国を表している言葉だと感じました…。競争が行き過ぎると、新しい価値を生み出すどころか、皆で疲弊してしまう。日本も他人事ではないかもしれません。この状況からどう抜け出すのか、中国企業の次の一手が注目されますね。


口コミこそが正義?SNSが変える中国のサービス競争

配信で語られたポイント:深圳レストランの接客レベル向上

過酷な「内巻」競争の中で、企業が生き残るために重視しているのが**「口コミ」です。特に、中国版インスタグラムとも呼ばれるSNS「小紅書(RED)」**などのプラットフォームでの評判が、集客を大きく左右するようになっています。

配信では、福井記者が香港と隣接する都市・深圳(シンセン)のレストランで、その接客レベルの高さに驚いたという体験談が語られました。

音声の雰囲気 福井記者: 「(香港は)そんなに接客が良くないんですよ。…深圳でご飯を食べたとき、本当にびっくりして。従業員の人がめちゃくちゃ声をかけてきてくれて…こんなに接客してくれるんだっけって」

この変化の背景にあるのが、まさに口コミ重視の傾向なのだとか。

耳ログ解説:評価経済化する中国社会

中国では、レストラン選びから旅行先の決定、商品の購入に至るまで、あらゆる消費行動において、アプリ上の評価やSNSでの口コミが決定的な役割を果たしています。良い口コミはさらなる顧客を呼び込み、悪い口コミは客足を遠のかせる。まさに**「評価経済」**とも言える状況が、都市部だけでなく全国的に浸透しているのです。

そのため、飲食店は料理の味だけでなく、接客態度や店の雰囲気など、あらゆる面で「悪評」が付かないよう、サービスの質を向上させる努力を強いられています。これは、消費者にとってはサービスの向上が期待できる一方で、事業者にとっては常に評価にさらされる、息苦しい環境とも言えます。(出典:総務省「令和4年版 情報通信白書」中国のソーシャルメディア利用動向

感じたポイント👌 口コミの影響力、すさまじいですね!香港より深圳の方が接客が良いというのは意外でした。でも、常に評価されるプレッシャーの中で働くのは大変そう…。私たちもSNSで気軽に評価を書き込めますが、その一言がお店の存続に関わるかもしれない、という意識は持っていたいですね。


デフレ下の追い風?中国で人気の日本外食チェーン戦略

配信で語られたポイント:サイゼリヤ、スシローが店舗拡大

こうした中国の消費トレンドの変化(コスパ重視、口コミ重視)を追い風に、業績を伸ばしているのが、日本の外食チェーンです。特に**「サイゼリヤ」「スシロー」**の人気は絶大だとか。

音声の雰囲気 福井記者: 「サイゼリヤとかスシローとか、そういう低価格だけど美味しいものが食べられるっていうのが、最初に言った中国の最近のコスパ志向に一番ぴったり来ているということで、実際に店舗も増やしてるみたいです」 村野キャスター: 「サイゼリヤは今後10年間で中国国内の店舗を2倍にすると。スシローは今期に前の期に比べて3割店舗を増やすと」

驚異的な拡大ペースですね!福井記者によると、香港のスシローは予約が1週間先まで取れないほどの人気ぶりだそうです。

耳ログ解説:日本式「高品質・低価格」モデルの強み

なぜ日本の外食チェーンがこれほど支持されるのでしょうか。それは、単に安いだけでなく、

  • 品質への信頼: 食の安全や衛生面に対する信頼感。
  • 安定した味: どこの店舗でも同じクオリティの味が楽しめる安心感。
  • 効率的なオペレーション: 無駄を省いた効率的な店舗運営によるコスト削減。

といった、日本で長年培ってきた**「高品質・低価格」**のビジネスモデルが、今の中国の消費者のニーズに完璧に合致しているからです。デフレ傾向や節約志向が強まる中で、その価値がますます際立っていると言えるでしょう。

感じたポイント👌 これは日本の外食産業にとって、大きなチャンスですね!厳しい国内市場で磨き上げられた「コスパ力」が、巨大な中国市場で花開いている。他の日本企業にとっても、大いに参考になる成功事例だと感じました。


この記事をまとめると…

今回のニュースレーターからは、現代中国の消費社会を読み解く上で欠かせない、3つの重要なキーワードが見えてきました。

  • コスパ重視への大転換: かつての「メンツ消費」は影を潜め、経済の減速や将来不安を背景に、消費者はより賢く、実利的な価値を求めるようになっています。この変化は、あらゆる業界のビジネス戦略に影響を与えています。
  • 「内巻」という消耗戦: 市場の成長が鈍化する中で、企業間の競争は、時に業界全体を疲弊させる不毛な「内巻」へと陥りがちです。この消耗戦から抜け出し、新たな価値創造へと転換できるかが、今後の中国企業の課題です。
  • 口コミが支配する評価経済: SNSの普及により、消費者の声(口コミ)が、企業の評判や存続を左右する絶対的な力を持つようになりました。企業は、製品やサービスの質はもちろん、顧客とのコミュニケーション戦略も、これまで以上に重要になっています。

中国の消費トレンドの変化は、日本企業にとって脅威であると同時に、大きなチャンスでもあります。この巨大市場のダイナミックな変化を的確に捉え、柔軟に対応していくこと。それが、これからのグローバルビジネスで成功するための鍵となりそうですね。

配信元情報

  • 番組名: ながら日経 × NewsLetter・with NIKKEI コラボ放送
  • タイトル: 最新・中国消費 コスパと口コミを重視〜with NIKKEI
  • 配信日: 2025年10月17日

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