日本のAIプロダクトが世界で注目を集めています🇯🇵✨。2024年7月に公開された日本発の検索AIサービス「Felo(フェロー)」が、わずか数ヶ月でユーザー数を急増させているのをご存知でしょうか?今回は、開発元であるスパーティクル株式会社の堀江様(COO)とチャールズ様(運用担当)に直撃インタビュー!独自の多言語検索戦略や、業務効率を劇的に改善する高速スライド・マインドマップ機能の裏側、そしてスタートアップならではの壮絶な開発コストまで、詳しく伺いました。AI検索の最前線で何が起きているのか、その全貌を解説します。
Feloの驚異的な成長と、日本先行の差別化戦略
Feloは2024年7月23日にリリースされました。リリースからわずか1ヶ月で、世界中で15万人ものユーザーを獲得したという驚異的な実績を持ちます。特に9月には、新機能(PowerPoint機能)のリリースをきっかけに一気に露出が増え、現在もPro会員(有料ユーザー)が毎日約20人増えるほどの成長を見せています。
1. 日本国内ユーザーが3分の1を占める特異性
Feloのユーザー構成はグローバルに広がっており、全ユーザーの約3分の1を日本が占めています。その他のユーザーは台湾、ロシア(残りの3分の1)、中国、ヨーロッパ、アメリカと多岐にわたります。
特筆すべきは、Feloが日本先行の戦略を取っている点です。通常、海外で機能を実装した後、時間差で日本に展開するのが一般的ですが、Feloは日本で最初に新機能を実装し、その後海外に波及させています。日本の会社として、日本のユーザー体験を最優先するこの戦略が、高い注目度につながっています。
2. 多言語対応と学術論文検索
Feloの検索エンジンとしての最大の違いは「多言語対応」です。ユーザーが多言語で入力しても、Feloはグローバルな情報ソース(アメリカ、インド、台湾、中国など)をまとめて検索し、最終結果を日本語で生成してくれます。
また、学術論文検索機能にも強みがあります。その精度は、検索AIの雄であるPerplexityに匹敵するレベルだと言及されています。
感じたポイント👌: 多くの検索AIが欧米圏の情報を中心に収集する中で、Feloがグローバルなソースを参照しつつ日本語で分かりやすくアウトプットしてくれるのは、日本のユーザーにとって非常に価値が高いですね。
日本人が熱狂する「高速業務効率化機能」の裏側
Feloは単なる検索AIではなく、検索結果をすぐに業務で使える形にアウトプットする強力なツール機能を搭載しています。
1. マインドマップとスライド生成
特に日本人ユーザーに愛されているのが、マインドマップとスライド(PowerPoint)生成機能です。検索した内容をそのままプレゼンテーション資料(スライド)や情報整理用のマインドマップとして出力できる点は、他の検索AIにはない大きな強みです。
- 社内利用の事例:スパーティクル社内でも、競合調査や情報収集にFeloが活用されています。以前はPowerPoint作成に90時間かかっていた作業が、Feloのスライド機能を使うことでわずか1時間に短縮された事例もあり、業務時間を約30%節約しています。
- 最新アップデート:Feloは今後、出力したPowerPoint資料をダウンロードせずにオンラインで編集できる機能を、無料ユーザー・有料ユーザー関係なく提供する予定です。
2. 開発を支えるRAG技術
Feloの開発の背景には、RAG(Retrieval-Augmented Generation)という技術があります。共同創業者はMicrosoft、Baidu、TikTokを開発するByteDanceなどの検索エンジニア出身であり、その検索技術のバックグラウンドを活かして開発されました。
RAGとは、LLM(大規模言語モデル)の学習済みデータ外の情報を、検索のような形で引っ張ってきて回答を生成する技術です。Feloは、もともと企業向けに社内資料やマニュアルをRAGで管理・活用する「gBase」というプロダクトを展開しており、その技術的応用としてFelo AIが誕生しました。
感じたポイント👌: 単なる検索窓ではなく、RAG技術によって「信頼できる情報」を引っ張り出し、さらにマインドマップやスライドとしてアウトプットまで一気通貫させる機能は、AI時代の「解説記事/ノウハウ」コンテンツ作成(Web担当者Forumの指針)にも非常に役立つと感じました。
運用で直面する課題:APIコストは1日1000ドル超え
Feloのような高性能AIサービスを運用する上で、コストは避けて通れない課題です。
インタビューでは、Feloの運用コストの高さが明かされました。サービスの運用だけで、通常、毎日約1,000ドル(約15万円以上)がかかっているとのことです。
これは、ユーザーが増えるたびにコストも増加するためです。特に、高性能なAIモデル(例:GPT-4o)や、PowerPoint生成に必要なAPIの接続コストが大きく、1回のPowerPoint生成に約0.1ドルかかる計算です。
感じたポイント👌: ユーザーから見ると無料で高性能な機能を使える喜びがありますが、裏側ではOpenAIなどのAPIコストが毎日莫大にかかっている現実は、AIスタートアップの厳しい戦いを物語っていますね。
今後の展望とB2B/2C向けAPIの計画
Feloを開発するスパーティクル株式会社は、Felo AI以外にも、リアルタイム翻訳ツール「Felo Shun-yaku(フェロ瞬訳)」や、Web/YouTube要約ツール「Grarity(グラリティ)」など、多様なAIプロダクトを展開しています。
1. B2Bおよび個人向けAPI
Feloは現在、複数の企業からAPI接続の要望を受けており、2025年1月頃にはB2B(企業向け)のAPI開発を予定しています。その後、様子を見て、来年の頭から2〜3ヶ月後(2025年4月頃)には個人(2C)向けのAPIも開発・リリースする予定です。
これにより、プログラミングやノーコードツールを通じて、個人でもFeloの強力な多言語検索・生成機能を自分のアプリケーションや自動化ワークフローに組み込めるようになると期待されます。
2. その他の主力プロダクト
企業向け(2B)の主力は、金融機関など機密性の高い情報を扱う企業向けに、オンプレミス環境(自社のサーバー)でRAGツールを提供するプロダクト「gBase」です。これは、メタ社のLlama 3.1 45Bモデルを活用し、社内のヘルプデスクやナレッジマネジメントをサポートします。
感じたポイント👌: APIの公開は、Feloの多言語検索機能が、私たちの日常のAI自動化(AIオートメーション)や、より複雑なタスクを実行するAIエージェント の基盤として活用される可能性を一気に広げます。
この記事をまとめると…
日本発の検索AI「Felo」は、2024年7月のリリース以来、多言語対応と強力な業務効率化機能で急速にユーザーを拡大しています。特に、検索結果からマインドマップやスライドを高速で生成する機能が日本人ユーザーに支持され、PowerPoint作成時間を大幅に短縮する実績も出ています。開発基盤はRAG技術にあり、元検索エンジニアのチームによって支えられています。今後はB2B向け、そして個人向けのAPI公開も控えており、AI検索市場における存在感をさらに高めていく見込みです。
配信元情報
- 番組名:AIロボシンク
- タイトル:【インタビュー】日本発の検索AI、Feloにお話を伺いました
- 配信日:2024-10-15

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