トランプ政権がインテル株10%取得!民間企業への「異例の直接介入」が映すもの

経済・ビジネス

「アメリカ政府がインテル株の10%を取得」というニュース、ただの経済ニュースではないんです😲。リーマンショックや戦時下を除き異例とされる、民間企業への直接介入に、なぜトランプ政権は踏み切ったのでしょうか?背景には、AI開発競争の遅れと、重要産業である半導体産業の強化という狙いがあります。今回の配信では、この異例の動きの経緯と、自由市場原則からの逸脱という懸念について専門家が解説します。この記事を読めば、米国の産業政策の最前線がスッキリわかりますよ👍。

今回の配信内容🎧

今回の配信では、トランプ政権によるアメリカの半導体大手インテル株のおよそ10%取得という異例の直接介入について解説します。経営不振に陥るインテルの再建と半導体産業の強化という狙い、株式取得の経緯(トランプ大統領によるCEO辞任要求からの会談)、そして過去の大規模な経済危機以外では異例とされるこの動きに対する、自由市場原則からの逸脱という懸念の声について深掘りします。


トランプ政権、異例の「直接介入」に踏み切った背景

かつての半導体王、インテルの現状

アメリカの半導体大手インテルは、かつてアメリカの半導体製造を牽引する存在でした。昔を知る人にとっては、Windowsとインテルが組んで「ウインテル」と呼ばれ、世界を制覇していたイメージが強いかもしれません。

しかし、近年はAI向け開発競争などで遅れを取り、昨年(2024年)は巨額の赤字を計上するなど、経営不振に陥っています。

インテルは、かつてアメリカの半導体製造を牽引する存在でしたが、現在、半導体の製造拠点の多くはアジアにシフトしています。こうした中、トランプ政権は製造業の国内回帰を現在推し進めており、今回のインテル株取得はその一例です。

89億ドル(約1.3兆円)の株式取得と狙い

トランプ政権は先週、インテルの株式のおよそ10%を政府が取得したことを明らかにしました。出資額は89億ドル、日本円にしておよそ1兆3000億円に上ります。

この大規模な出資の狙いは、経営不振に陥っているインテルの再建と、重要産業として位置づけている半導体産業の強化につなげたいという点にあります。

アメリカ政府の民間企業への直接介入は極めて異例と捉えられており、過去には、2008年のリーマンショック、あるいは自動車産業への資金投入以来、大きく注目されている一件です。

なお、今回アメリカ政府が取得した株式には、議決権や取締役会での議席などはないということですが、政府がこのような巨大企業の株式を取得し、何らかのコントロールを及ぼそうという動きは、「国営化みたいな感じ」とも評されています。

ここがポイント👌

インテルはAI開発競争で遅れ、昨年巨額の赤字を計上したため、トランプ政権は89億ドル(約1.3兆円)株式のおよそ10%異例の直接介入です。

異例のディールが成立した「舞台裏」

大統領のSNS投稿から始まったディール

この異例の株式取得は、トランプ大統領がSNSを通じてインテルのCEOの辞任を要求したことがきっかけとなっています。

大統領は、CEOが中国企業へ出資をしていることを理由に「重大な利益相反がある」と投稿しました。

その後すぐ、インテルのリップ・ブータンCEOとトランプ大統領が会談し、株式取得をめぐる協議がなされ、先週の正式発表に至っています。

トランプ大統領は、会談後に「彼は職を維持しようと言いました」とコメントしており、この一連の流れは、担当者の辞任回避のためのディールというパターンを彷彿とさせました。

「法律上の疑義」と「自由市場原則」からの逸脱

今回の出資は、国内の半導体業界支援を目的として2022年に成立したCHIPS法(チップス法)の補助金から拠出されています。

しかし、この資金の使途について、一部専門家からは、この法律では補助金を出資に転換することを認めない可能性もあるとの指摘があり、合法性に高い疑念が持たれています。

政府としては、インテルの合意を今後、他の企業においても適用したい考えを示唆していますが、この補助金転用が法的に認められるかどうかが焦点です。

ブルームバーグは、こうした動きを「自由市場原則を大きく逸脱するもの」と伝えています。通常、市場経済と民主主義の国では、市場が失敗した時のみ政府が介入すべきとされていますが、今回、インテルが「失敗」したと言い切れるかには議論の余地があります。

ここがポイント👌

株式取得は、トランプ大統領がCEOの辞任を要求したSNS投稿がきっかけとなっており、CHIPS法の補助金を株式取得に転用する手法には合法性の疑念があり、自由市場原則からの逸脱が指摘されています。

トランプ政権と「国家資本主義」への傾倒

この市場への積極的な介入は、トランプ政権下の経済戦略の特徴を色濃く示しています。

「大きな店の店主」という発想

トランプ大統領はかつて、「自分は大きくてビューティフルな美しいお店の店主みたいなイメージ」で国を見ており、価格や人事も自分で決めるという発想が根底にあると分析されています。

「価格は自分で決める」「自分が経営者だったら、プライシングも人事権も自由」という発想は、国家という巨大なまとまりを自分でコントロールする「国家資本主義っぽい」話であり、本来市場経済と民主主義の国からすると禁じ手です。この点で、この動きは、中国のような国の経済介入のあり方とも重なるという指摘もあります。

左右を混乱させる政治的影響

今回の介入は、政治的な混乱も引き起こしています。この「国営化みたい」と見なされる動きに対し、リベラル派のバーニー・サンダース上院議員からは「俺が褒めたことあるんだよね」と褒められるという「謎の現象」が起きました。

一方で、トランプ大統領の支持層である保守派からは、市場介入に対する強い反発が生じています。トランプ氏の「思いつき」や強力なキャラクターが、伝統的な政治・経済の左右の概念を超越し、混乱を引き起こしている状況が伺えます。

ここがポイント👌

今回の市場介入は「国営化みたい」と見なされ、左派からは評価、保守派からは反発が起きるという混乱を生んでいます。これは、トランプ大統領がアメリカを自分の「大きな店」と見立て、国家資本主義的なコントロールを目指していることの表れだと分析されています。


この記事をまとめると…

トランプ政権は、AI競争で遅れをとり巨額の赤字を計上した半導体大手インテルの株式およそ10%を、89億ドル(約1.3兆円)を投じて取得しました。これは、半導体産業の強化と国内回帰を目指す異例の民間企業への直接介入です。

この動きは、トランプ大統領がSNSでCEOの辞任を要求したことに端を発しており、国内支援法(CHIPS法)の補助金を出資に転用する手法の合法性に疑義が持たれています。

この市場への積極介入は、トランプ大統領の「国を大きな店と見る」独自の姿勢が、国家資本主義的な方向へ傾倒していることを示唆し、自由市場原則からの逸脱として注目されています。


配信元情報

  • 番組名:ニュースコネクト
  • タイトル:トランプ政権、半導体インテル株10%取得。民間企業へ異例の直接介入
  • 配信日:2025-08-25

関連情報のリンク

🟢 Bloomberg(2025年8月23日公開)

タイトル:米政府、インテルの株式約10%取得で合意-補助金活用し異例の措置
概要:CHIPS法の補助金を活用し、米政府がインテル株式約10%(4億3330万株)を取得。出資額は89億ドル。議決権なし。
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🟢 ジェトロ(2025年8月27日公開)

タイトル:トランプ米政権、インテルに約89億ドルを投資し、筆頭株主へ
概要:CHIPSプラス法とセキュア・エンクレーブ補助金を原資に、米政府がインテル株式9.9%を取得。追加取得権も保有。
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