現在、電気自動車(EV)の主流であるリチウムイオン電池に代わり、次世代電池として期待されているのが「全固体電池」です。しかし、普及に向けた最大の壁は、そのコストの高さでした😟。今回、石油元売りの出光とトヨタ自動車がタッグを組み、このコスト課題を「電池の再利用」という革新的な仕組みで解決しようとしています。この提携は、中国勢がリードするEV電池市場で、日本勢が「逆襲の切り札」を実用化するための秘策となるのでしょうか?今回の配信では、この全固体電池の最新動向と、コスト削減に向けた具体的な構想を深掘り!この記事を読めば、EV時代の技術トレンドと日本の戦略がスッキリわかりますよ👍。
今回の配信内容🎧
今回の配信では、EV電池市場の最新動向として、トヨタ自動車と出光興産が共同で進める全固体電池の開発戦略を解説します。全固体電池のメリットと、普及の最大の課題であるコスト高への具体的な対応策に焦点を当てます。また、石油元売りである出光がEV電池事業に参入する背景にあるガソリン需要減少の傾向や、中国勢がリードするEV電池市場で、全固体電池が日本勢の「反転攻勢の切り札」となる可能性について深掘りします。
【前編】全固体電池のポテンシャルと普及の課題
次世代電池「全固体電池」の革新性
電気自動車(EV)電池市場の最新動向が注目されています。現在EV電池として主流なのは、液体の電解質を採用したリチウムイオン電池です。これに代わるものとして期待されているのが、トヨタ自動車などが開発を進める全固体電池です。
電池は、金属のプラスとマイナスに分かれた2つの電極と、その間にあるイオンの通り道となる電解質の3つで構成されています。リチウムイオン電池ではこの電解質に液体が使用されていますが、全固体電池では電解質が固体となっているのが最大の特徴です。
全固体電池が注目される理由は、その高い性能にあります。現在のリチウムイオン電池と比べてエネルギー密度が高く、同じ大きさの電池でEVの航続距離を伸ばせるというメリットがあります。また、発火しにくく安全性も高いとされています。
普及に向けた最大の障壁「コスト」
これほどメリットの多い全固体電池ですが、なぜまだ普及していないのでしょうか。その最大の理由は、コストが高いという点にあります。全固体電池の普及に向けた大きな課題は、このコスト高をどう克服するかという点に集約されます。
ここがポイント👌
全固体電池は、電解質が固体であるため、エネルギー密度が高く航続距離を伸ばせるほか、安全性も高いというメリットがありますが、コストの高さが普及に向けた最大の課題となっています。
【中編】トヨタと出光のタッグ:コスト削減の秘策
出光、リチウム原料の固体電解質を供給
全固体電池のコスト高という課題に対し、今回、トヨタと出光興産がタッグを組んだことが注目されています。
出光は、オーストラリアでリチウムの炭鉱に出資しており、こうした権益を活かします。出光は、トヨタが2027年から2028年にかけて発売するEVの電池向けに、リチウムを原料とする粉末固体電解質を供給します。
廃車EVの電池を再利用する構想
この提携の核となるのが、コスト削減の仕組みです。コストの高さが課題となる中、出光は、廃車となった後のEVから電池を取り出し、蓄電池として再利用することを検討しています。この買取サイクルが確立できれば、トヨタによる全固体電池の調達コストの削減につながります。
出光がEV市場に参入する背景
石油元売りである出光にとって、EVはガソリン車を脅かす**「ライバル」とも言える存在です。しかし、日本国内では少子高齢化や脱炭素の流れでガソリン需要は減少傾向にあります。そのため、出光はガソリン販売に次ぐ新たな収益源の確保を進めており、全固体電池という次世代技術への参入は、同社の未来を担う戦略的な一手となっています。
ここがポイント👌
トヨタと出光は、全固体電池のコスト課題を、出光が持つリチウム権益と、廃車EVから電池を取り出して蓄電池として再利用する仕組みを確立することで解消し、トヨタの調達コスト削減を目指しています。
【後編】EV市場の勢力図と日本勢の「切り札」
中国勢リードの市場で実用化を目指す
現在のEV電池市場を見ると、中国勢がリチウムイオン電池のシェアで大きくリードしています。また、中国勢は急速充電や交換電池などの技術開発も進めており、進化のスピードは非常に速い状況です。
全固体電池は、これまで日本車メーカーのEV市場での「反転攻勢の切り札」ともされてきました。しかし、コストダウンなどが思うように進まず、実用化が遅れてきた経緯があります。
逃げ道だった実用化を果たすチャンス
今回のトヨタと出光による「電池の再利用」という新しい仕組みは、コスト高のネックを解消し、実用化を果たす可能性をもたらします。長らく先延ばしになってきた全固体電池の実用化が、ついに実現へと近づくかもしれません。
日本の自動車産業は、電磁鋼板(EVモーターのコアに使われる、ロスを減らす素材) や、全固体電池など、EVの重要技術において独自の強みを持っています。これらの技術を、いかにコスト効率良く市場に投入できるかが、中国勢との競争に勝つための鍵となります。今回の出光とトヨタの提携は、全固体電池の技術的な優位性を、ビジネスとしての採算性に結びつけるための、非常に重要な戦略だと言えるでしょう。
ここがポイント👌
全固体電池は日本車メーカーのEV反転攻勢の切り札だが、実用化が遅れてきた。今回の電池再利用の仕組みでコスト高を解消できれば、中国勢がリードする市場において、実用化が果たされる可能性があります。
この記事をまとめると…
次世代電池である全固体電池は、航続距離と安全性の面で大きなメリットを持ちますが、コストの高さが普及の課題となっていました。今回、トヨタ自動車と出光興産は、出光が持つリチウム権益と、廃車EVの電池を蓄電池として再利用する革新的な仕組みを構築することで、このコスト課題の解決を図ります。石油元売りである出光にとってはガソリン需要減少の中での収益源確保の戦略でもあり、中国勢がリードするEV電池市場において、全固体電池が日本勢の「反転攻勢の切り札」として実用化されるための重要な一歩となります。
配信元情報
- 番組名:日経プライムボイス
- タイトル:出光とトヨタ、全固体電池で再利用構想_EV逆襲の秘策
- 配信日:2025-07-30
引用リンク
トヨタと出光、全固体電池の再利用構想に関する報道(日経)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC20250730A030C2000000/出光興産、EV電池事業参入の背景と戦略(ニュースイッチ)
https://newswitch.jp/p/44860全固体電池の技術解説と市場展望(トヨタ公式)
https://global.toyota/jp/newsroom/technology/39898897.html


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