【解説】日鉄、「虎の子」電磁鋼板でGM・フォードと初取引!EV逆襲の秘策

経済・ビジネス

日本の日本製鉄(日鉄)「虎の子」の電磁鋼板を引っ提げ、アメリカ自動車市場に本格参入します!😲
1年半にも及ぶ買収劇の末、USスチール買収に成功した日鉄の次なる一手は、アメリカのビッグスリー(GM、フォードなど)との初取引。この技術は、中国勢にリードされるEV競争における日本勢の「切り札」とも言えます。今回の配信では、この電磁鋼板がなぜEV時代に不可欠なのか、そして日鉄の買収戦略とトランプ関税を追い風にする戦略の裏側を深掘り!この記事を読めば、最新のモビリティ技術と日米経済の動向がスッキリわかりますよ👍。

今回の配信内容🎧

今回の配信では、日本製鉄(日鉄)がアメリカの鉄鋼大手USスチールの買収に成功した後、EVモーターのコア素材である「電磁鋼板」を武器に、GMやフォードといったアメリカの自動車大手(ビッグスリー)との直接取引を進める戦略について解説します。電磁鋼板がEV時代に不可欠な理由、日鉄が持つ技術力と価格競争力、そして技術流出のリスクを避けるために完全子会社化にこだわった背景、さらにはトランプ関税が日鉄にとって追い風となる可能性など、EV市場における日本の競争力と戦略について深掘りします。

EV時代に不可欠な「虎の子」の電磁鋼板

日鉄、USスチール買収で世界第3位に迫る

日本製鉄(日鉄)は、実に1年半もの時間をかけた買収劇の末、アメリカの鉄鋼大手USスチールの買収に成功しました。一時はバイデン政権から買収の禁止命令が出されていましたが、トランプ大統領の決断によって逆転勝利し、統合後の粗鋼生産量では世界第3位に迫る鉄鋼メーカーとなりました。

この買収成功を突破口に、日鉄がいよいよアメリカの自動車市場に進出しますが、その「切り札」となるのが、電磁鋼板です。

電磁鋼板とは?EV時代の心臓部

電磁鋼板(でんじこうはん)とは、電動車のモーターコアに使う製品のことで、電気の電に磁石の磁、そして鋼の板と書きます。

この素材は、高い磁気特性を持ち、エネルギー効率や回転性能に優れており、EV時代に不可欠な素材です。

モーターは軸が回ることでエネルギーが生まれますが、この際、電気を100%伝えられれば良いのですが、熱が発生しロスが生まれてしまいます。電磁鋼板の役割は、このロスをなるべく減らすための素材であり、EVの航続距離や効率を左右する、まさにEVの心臓部とも言える技術です。

ここがポイント👌

日鉄はUSスチール買収に成功し、EVモーターのコアに使われる電磁鋼板を武器にアメリカ市場へ進出します。電磁鋼板は高い磁気特性を持ち、モーターで発生するロスを減らすために不可欠なEV時代に不可欠な素材です。

技術力と価格競争力、そして技術流出リスク

日鉄の電磁鋼板は「質が高く、安い」

電磁鋼板の技術は日鉄だけが持つものではありませんが、日鉄の製品は他国に比べて「質が高いのに安い」という強烈な優位性を持っています。

アメリカでは、日鉄よりも品質が劣る製品が、日本の倍近い価格で取引されているケースもあるほどです。このため、日鉄にとっては、技術力だけでなく価格競争力でも優位に立てる可能性があり、収益面でも大きなうまみが期待されています。

(「安い、早い、うまいじゃないですが、日鉄のジャパンクオリティが誇らしくなりますね」という聞き手のコメントからも、その優位性が伺えます。)

「完全子会社化」にこだわった理由

日鉄は、これまで海外事業では電磁鋼板の技術を投入してきませんでした。その理由は、技術流出のリスクを避けるためです。

USスチール買収の際に、日鉄がトランプ政権を相手に完全子会社化を譲らなかったのも、この技術流出リスクと深く関わっています。日鉄は、完全子会社でなければ技術流出のリスクが常にあり、技術を満足に投入できず、USスチールの再建は実現できないと見ていたためです。

日鉄が持つ電磁鋼板のような「虎の子の技術」の維持は、他の分野でも重要視されています。例えば、天然マグロやウナギの完全養殖技術も、コストが高くても一度撤退すると再開に10年はかかるため、の観点からも手段を維持しておくことが大事だと指摘されています。同様に、EV電池分野で日本勢が持つ全固体電池も、中国勢にリードされる市場での「反転攻勢の切り札」として、コスト削減(廃車EVの電池再利用など)の仕組みを構築し、実用化の道を模索し続けています。

ここがポイント👌

日鉄の電磁鋼板は、他国より質が高く価格も安いため、収益面で大きなうまみがあります。日鉄がUSスチールの完全子会社化にこだわったのは、電磁鋼板の技術流出のリスクを避けるためであり、この「虎の子の技術」の維持は、日本の食料安全保障やEV電池などの他分野でも共通する重要課題です。

【後編】米ビッグスリーとの初取引と関税の追い風

GM、フォードとの初取引へ

日鉄は、念願かなってUSスチール買収を完了させたことで、いよいよこの電磁鋼板の技術をアメリカ自動車市場に投入します。

日鉄にとってこれまで直接の取引がなかったアメリカ自動車大手、ビッグスリーのゼネラルモーターズ(GM)、フォードモーター、そしてヨーロッパのステランティス傘下のブランドであるクライスラーとの取引を進めていく方針です。

トランプ関税が「ネガティブ」から「追い風」へ

通常、関税は貿易の障害となるネガティブな要素ですが、日鉄のケースでは、トランプ関税が追い風になるという興味深い状況にあります。

日鉄はUSスチールを現地生産拠点として手に入れたことで、トランプ関税の影響を受けずにアメリカで現地生産できるという強みがあります。さらに、この高性能

トランプ関税が「ネガティブ」から「追い風」へ

通常、関税は貿易の障害となるネガティブな要素ですが、日鉄のケースでは、トランプ関税が追い風になるという興味深い状況にあります。

日鉄はUSスチールを現地生産拠点として手に入れたことで、トランプ関税の影響を受けずにアメリカで現地生産できるという強みがあります。さらに、この高性能な電磁鋼板は、アメリカ市場においてハイブリッドが強い日本車メーカーの製品力向上にも直結します。

アメリカ市場が揺れ動く中、日鉄の成功は、日本車産業の未来を左右する可能性があるとして注目されています。

ここがポイント👌

日鉄はUSスチール買収により、これまで直接取引がなかったGM、フォードモーター、クライスラーといったアメリカの自動車大手(ビッグスリー)と取引を進めます。現地生産できる強みがあり、これが日本車産業の製品力向上にも直結すると期待されています。

この記事をまとめると…

日本製鉄(日鉄)は、EVモーターのコア素材である電磁鋼板を武器に、アメリカ市場に本格参入します。電磁鋼板は、高い磁気特性と他国製品に比べて質が高く安いという強みがあり、日鉄は技術流出を防ぐためにUSスチールの完全子会社化を堅持しました。

日鉄はこれからGMやフォードといったアメリカのビッグスリーとの直接取引を進め、トランプ関税の影響を受けずに現地生産できるという優位性を活かして、EV時代における日本車産業の製品力向上に貢献することが期待されています。


配信元情報

  • 番組名:日経プライムボイス
  • タイトル:日鉄、「虎の子」電磁鋼板を米国へ GM・フォードと初取引
  • 配信日:2025-09-17

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