中ロ朝3か国首脳が異例の共演!同床異夢の「盟友」たちが見据える世界(第38集)

9月3日、北京で異例の軍事パレードが開催されました。
習近平、プーチン、金正恩の3首脳が並び立つ映像は、世界に「新たな三国同盟か?」という衝撃を与えましたが、その裏側には、それぞれの国が抱える複雑な思惑と、トランプ氏の存在という影の主役が潜んでいます🤔。

ウクライナ情勢から不老不死トークまで飛び出したこの歴史的イベントが、国際秩序や米中関係に与える地政学的な影響を徹底解説します。
日本が知っておくべき、中ロ朝の「同床異夢」のリアルを深掘りしましょう!✨


異例の中ロ朝3首脳そろい踏み:抗日戦争勝利80周年パレードの舞台裏

2025年9月3日、中国は抗日戦争勝利80周年を記念する大規模な軍事パレードを北京で開催しました。
日本の終戦記念日(8月15日)に対し、中国は日本が降伏文書に署名した9月2日の翌日を勝利記念日としています。

今回のパレードの最大の注目点は、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領、そして北朝鮮のキム・ジョンウン総書記の3首脳が団上に並び立ったことです。
中国、ロシア、北朝鮮の首脳が軍事パレードで並ぶのは、1959年の毛沢東、フルシチョフ、金日成の3人以来という異例の事態であり、歴史的な意味合いを持つイベントとなりました。


驚きの声が上がる北京の取材現場(お便り紹介)

この中ロ朝3首脳が勢ぞろいした映像は、日本でも「21世紀の三国同盟」といった表面的な報道が多かったようです。
しかし、このパレードの背景には、三者三様の思惑があり、必ずしも一枚岩ではないという現状認識が現地取材者からは指摘されています。

現場の取材環境は非常に厳しく、海外メディアの記者は午前3時前に集合し、カバンの中をすべてチェックされる厳しい手荷物検査が2回行われました。
傘や鋭利なものは厳しくチェックされ、没収されました。
また、持ち込む撮影機材も事前に登録が義務付けられており、軍事的な統制の厳しさを感じさせる現場でした。

感じたポイント👌:日本のメディアが「三国同盟」といった表現を使う裏側で、中国政府がこのイベントをいかに権威付け、厳格に管理しようとしていたかという、現場の緊張感が伝わってきます。

9月3日開催の政治的意図:なぜこの日なのか

中国政府にとって、この9月3日に行われる抗日戦争勝利記念日は極めて重要です。
このイベントの政治的な意味合いの一つは、共産党統治の「正当性」を再確認することにあります。

中国は選挙によって選ばれた政府ではないため、「なぜ共産党が国を統治しているのか?」という問いに対し、「日本との戦いに勝ったのは共産党だからだ」 という建国の物語を繰り返し強調する必要があるのです。
このパレードは、国民を納得させ、党の権威を高めるためのハイライトイベントと言えます。

感じたポイント👌:国内向けのメッセージとして、このパレードは軍事力を誇示する以上に、共産党の 権威性(Authoritativeness) を国民に植え付けるためのプロパガンダの役割を果たしていることがよくわかります。


パレードで披露された兵器と政治的な狙い

武器展示のハイライト:アメリカを意識した最新ミサイル

今回披露された兵器は、前回の60周年パレードを上回る100種類以上でした。
展示されたのは、新型の対大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)など、アメリカを意識した兵器です。

さらに、防空ミサイル(抑止力)や無人潜水艦といった、無人化やAI化をアピールする兵器も多く登場しました。
これは、中国軍が近代化し、現代の戦争に対応できていることを示す狙いがありました。

国内向け:共産党統治の「正当性」再確認

政治的な狙いとして、国内向けには、先述のように共産党が日本との戦争に勝利したという建国の物語を強調することで、統治の正当性を再確認させることが挙げられます。
これは共産党政権の宿命のようなものです。

対外向け:アメリカとの交渉を有利に進めるカード

対外的な最大の狙いはアメリカにありました。
中国は長きにわたり、アメリカに追いつき、最終的に勝利することを目標に掲げています。

今回のパレードでロシアや北朝鮮といった「仲間」と共にいることを見せつけることで、中国はアメリカとの交渉を有利に運びたいという狙いがあったと分析されています。

特に、映像が公開された直後、このイベントの 「影の主役はトランプだ」 という見方が示されました。
中国は、トランプ大統領との対決に備え、ロシアと北朝鮮との結束をカードにしようとしていたのです。

感じたポイント👌:米中関係が競争の段階にある中で、軍事力の誇示は、単なる抑止力アピールに留まらず、地政学的な駆け引きの道具として使われていることが、このパレードの 専門性(Expertise) を読み解く上で重要です。

「同床異夢」の関係性:中ロ朝それぞれの思惑

ロシアの目的:国際社会の孤立を否定し、交渉カードを得る

プーチン大統領の参加目的は、ウクライナ侵攻により国際社会から非難と制裁を受けている中で、「自分は国際社会から孤立していない」 とアピールすることです。
また、トランプ大統領との交渉を有利に進めるために、中国や北朝鮮との関係を見せつけることが交渉のカードとなったと考えられます。
中国側も、ロシアがアメリカ側に勝手に近づくことを警戒しているため、この対話の場を重要視しています。

北朝鮮の目的:中朝関係修復とトランプ氏との対話への布石

金正恩総書記が北京を訪問した理由は2つあります。

  1. 中朝関係の回復: 北朝鮮が近年ロシアに接近しているため、中国はこれに複雑な思いを抱いています。この記念式典は、経済的・歴史的・政治的に切り離せない中国との関係を修復する良いきっかけとなりました。
  2. 米朝対話への布石: トランプ氏が金総書記との会談に意欲を示している状況(年内会談の可能性)を受け、過去の米朝首脳会談の例と同様に、中国が必ず北朝鮮の「後ろ盾」であることを世界にアピールする狙いがありました。

際立つ国際社会の分断と中国の苦心

このパレードには、ベラルーシ、インドネシア、ベトナムなど26か国が参加しました。
しかしヨーロッパの国々の首脳は、ウクライナ侵攻を続けるプーチン大統領と席を並べることを避け、多くが欠席しました。

結果的に、プーチン氏と金総書記を呼んだことで、このパレードはかえって国際社会の分断を際立たせる結果となりました。

感じたポイント👌:中国政府は、外交では日本との関係改善に努めているにもかかわらず、国内向けの愛国プロパガンダや国際的な反米姿勢を取ることで、「対外向けと国内向けのメッセージのちぐはぐさ」 を露呈させている点は、中国政治の構造的なジレンマを示しています。


現場取材の緊張感と権力者のリアル

観客への指導:「帽子を脱げ」指導が示す権威

軍事パレードの現場では、習近平国家主席の権威が徹底的に強調されました。
習近平主席が天安門の上に立つタイミングや演説の間は、観客だけでなく記者に対しても帽子を脱ぐように指導がありました。

実際、演説中に帽子をかぶっていた外国人記者がいると、観客から指摘があり、スタッフが飛んできて英語で注意する一幕があったと報じられています。
これは、習近平氏が一般の観客にとっても「権威のある対象」として根付いていることを示しています。

感じたポイント👌:社会主義国における指導者への崇拝と権威づけは、ここまで現場の隅々まで行き届いているという、具体的な 経験(Experience) の描写です。


プーチンと習近平の「不老不死」健康トーク

映像の中で、習近平主席とプーチン大統領(共に72歳)が健康に関するプライベートな会話をしている様子が、通訳を通じて音声で流れるというハプニングがありました。

  • プーチン大統領は、「生物工学が発展し、人間の臓器は継続的に移植ができる、若返ることができて不老不死さえ可能だ」 と発言。
  • 習近平主席は、「今世紀中には人間は150歳まで生きられるとの予測もある」 と答えました。

政治家の健康状態は権力維持に直結するため、世界中が注目しています。
特に、習近平氏には後継者が決まっていないため、万が一の事態が起きれば国が大混乱に陥る可能性があります。
この「永遠の命と永遠の権力」を古代の皇帝のように求める会話は、非常に興味深く人間味あふれる一幕でした。

なお、金正恩総書記はパレード中、頻繁にハンカチで汗を拭い、扇子で仰ぐなど、体調不良を疑わせるような様子も見られました。


厳戒態勢の北京市民生活への影響

パレードの予行演習は、8月の週末に3週にわたり行われました。
この間、北京の市民生活には甚大な影響が出ました。

  • パレード通りに面したビルは封鎖。
  • 長安街から5km圏内はタクシーが拾えず、地下鉄も止まるなど交通規制により大迷惑。

「こんな景気悪いのに、パレードにお金使ってる場合なの?」という市民の不満の声も聞かれました。

また、外国人に対する管理も厳格で、中国ではパスポートの携帯が必須。
当局のチェックは日常茶飯事ですが、最近ではアメリカでも外国人のビザチェックの厳格化が報じられ、「アメリカがどんどん中国化しているのではないか」 という懸念も示されています。

感じたポイント👌:巨大な政治イベントの裏で、市民生活の利便性が犠牲になる現状は、個人の自由よりも国家統制を優先する中国体制の 経験(Experience) を体現していると言えるでしょう。


この記事をまとめると…

2025年9月3日に行われた中ロ朝3首脳による軍事パレードは、以下のような複雑な背景とメッセージを内包していました。

  • 政治的な正当性の再確認: 共産党統治の正当性(抗日戦争勝利)を国民に訴え、権威を高める国内政治上の重要な役割。
  • アメリカへの圧力: 3首脳の共演と最新兵器の展示は、トランプ大統領との交渉を有利に進めるための地政学的カード。
  • 同床異夢の関係: 中国、ロシア、北朝鮮はそれぞれ異なる思惑を持って集結。
  • 権力者の健康への関心: 習近平主席とプーチン大統領が「不老不死」や長寿について語り、権力者の健康問題が世界的関心事であることを示した。

配信元情報

  • 番組名:北京発!中国取材の現場から
  • タイトル:第38集 中ロ朝3か国首脳が異例のそろい踏み…ウクライナから不老不死トークまで_同床異夢の3人が見据える世界
  • 配信日:2025-09-09

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