中国経済の成長を象徴していた巨大不動産デベロッパー、恒大集団(エヴァーグランデ)が、ついに上場廃止となりました😟。負債総額50兆円という途方もない数字が示すように、中国の不動産危機は依然として先の見えない状態です。なぜ、かつて飛ぶ鳥を落とす勢いだった巨大企業がここまで転落してしまったのでしょうか?背景には、政府の政策失敗や、地方政府と不動産企業の密接すぎる関係という、中国経済が抱える構造的な問題があります。今回の配信では、この危機の経緯と、それが中国経済、そして私たち日本への影響を深掘りします。この記事を読めば、中国経済が抱える構造的な課題がスッキリわかりますよ👍。
今回の配信内容🎧
今回の配信では、中国最大の不動産開発会社である恒大集団が香港証券取引所で上場廃止となったニュースを取り上げます。かつて中国経済の成長の象徴だった同社が、50兆円近い巨額負債を抱え転落した経緯を解説。特に、2020年の中国政府による不動産向け銀行融資の規制強化がバブル崩壊のきっかけとなったことや、恒大集団のシナジーを生まない多角化戦略が自らの首を絞めた経緯に焦点を当てます。さらに、不動産開発会社と地方政府の密接な関係や、この危機が中国経済全体に及ぼす構造的な影響についても深掘りします。
中国経済の象徴、恒大集団の転落
かつての栄光と現状の負債
中国最大の不動産開発会社だった恒大集団(エヴァーグランデ)が、8月25日に香港証券取引所で上場廃止となりました。株式は昨年1月から売買停止となっていたため、廃止による市場の大きな混乱は見られませんでしたが、その転落の規模は衝撃的です。
恒大集団は、かつては「飛ぶ鳥を落とす勢い」で中国経済の成長の象徴とされていましたが、現在は50兆円近い巨額の負債を抱える、先の見えない状態にあります。
中国経済は1970年代後半の改革開放路線以降、世界の工場として急速な経済成長を遂げ、2010年までは年間10%以上の成長率を誇っていましたが、長引く不動産不況の影響で、現在成長率は5%前後まで鈍化しています。
GDPの4分の1を占める不動産関連事業
この不動産問題が深刻なのは、単に一企業の倒産に留まらないからです。中国のGDP(国内総生産)のおよそ4分の1を占めているとされるのが、不動産関連事業です。
恒大集団は、かつて株式市場での評価額が500億ドル(日本円で約7兆4200億円)を超えていた大企業であったことを考えると、この巨大な企業の転落は、中国経済全体にとって看過できない問題です。
ここがポイント👌
中国経済の成長の象徴だった恒大集団(エヴァーグランデ)は、現在50兆円近い巨額負債を抱え上場廃止となり、GDPの約4分の1を占める不動産関連事業の低迷は、中国経済全体の成長鈍化を招いています。
構造的課題:地方政府との「一蓮托生」
土地使用権売却に依存する地方政府
この不動産危機が中国独自の深刻さを持つのは、不動産開発会社と地方政府が「一蓮托生(いちれんたくしょう)」の関係にあるためです。
中国では、日本とは異なり、マイホームを買っても土地は国のもので、個人が所有権を持つことはできません。不動産開発会社は、地方政府から「土地の使用権」を費用を払って買い取ります。
地方政府は、この土地の使用権の売却収入を大きな財源としており、その収入の中からインフラ整備などを行う仕組みになっています。
したがって、恒大集団のような大規模な不動産開発会社の業績が悪化し、土地の使用権の売却収入が途絶えると、地方政府にとっても大きな痛手となってしまいます。すでに地方都市では、道路の建設などが止まっているところもあるそうです。
市場の失敗と「モラルハザード」の懸念
恒大集団の上場廃止は「市場の失敗」と見ることができますが、その後の対応が中国独自の難しさを生んでいます。
市場経済では、政府は市場が失敗した時のみ介入すべきですが、中国は国家資本主義的な側面を持つため、政府がどこまで、どのように介入するかが焦点です。もし政府が全てを救済する姿勢を見せると、「最後は政府が救済してくれる」モラルハザード(倫理的退廃)を招き、企業はさらに乱脈な経営に走りかねません。逆に救済をしなければ、多くの市民や投資家が損失を被ります。
この複雑なジレンマが、危機をより長期化させる要因となっています。
ここがポイント👌
中国では土地が国のものであるため、不動産開発会社の業績悪化は、土地使用権の売却収入に依存する地方政府の財政を悪化させ、地方政府と不動産企業の「一蓮托生」の関係が、危機を中国経済全体に広げる構造的な欠陥となっています。
転落を加速させた「自滅的な多角化」
シナジーなき多角化が資金繰りを悪化
恒大集団がここまで巨額の負債を抱え、資金繰りが悪化してしまった背景には、規制だけでなく「自滅的な多角化」があったことも指摘されています。
資金繰りが悪化する中で、恒大グループは、不動産開発とはあまり関係のない分野にまで手を広げていきました。具体的には、プロサッカーチームを買ったり、EV(電気自動車)の開発を始めたり、テーマパークを建設したりといった事業です。
ニュース解説でも、恒大集団は「シナジー(相乗効果)を生まない多角化によって自らの首を絞めることになってしまった」と指摘されています。本業で得た資金を、採算の難しい異業種に次々と投下した結果、負債が膨れ上がってしまったのです。
今後の見通しと日本市場への影響
恒大集団は上場廃止となりましたが、これは公開市場で株式売買がされなくなるだけで、負債が消えるわけではありません。再建者からの訴訟は数百件に上るとされ、この処理には非常に時間がかかると見られています。
香港証券取引所によれば、恒大グループ以外にも上場廃止のリスクに直面している中国の不動産開発会社は複数社あるということで、今後も「ショーケース」(最初の事例)として恒大の処理の行方が注目されます。
この不動産市場の低迷は、中国に進出している日本企業にも影響を及ぼしています。特に、建設関連や住宅関連のサプライチェーンを持つ企業は、今後も中国経済の動向を注意深く見守る必要があります。また、中国では少子高齢化が進み、20代や30代の人口は減少しているため、住宅需要がピークを超えている可能性もあり、この構造的な要因も不動産不況を長引かせる一因となりそうです。
ここがポイント👌
恒大集団は、資金繰り悪化の中で、プロサッカーチームやEV開発、テーマパークなど本業と関係のない分野に手を広げ、シナジーを生まない多角化が巨額負債を招く要因となりました。今後も恒大集団以外に上場廃止リスクに直面する企業があり、この危機の動向は、日本の関連企業にも影響を与え続けます。
この記事をまとめると…
中国最大の不動産開発会社だった恒大集団が香港証券取引所で上場廃止となりました。かつて成長の象徴だった同社は、現在50兆円近い巨額負債を抱えています。崩壊の直接的なきっかけは、2020年の政府による不動産向け銀行融資の規制強化でしたが、プロサッカーチームやEV開発などシナジーを生まない多角化が資金繰り悪化を招きました。
また、不動産開発会社の業績悪化は、土地使用権の売却収入に依存する地方政府の財政にも大きな痛手となります。この先の見えない不動産危機は、中国経済全体に影響を及ぼし、今後、恒大集団以外の複数社も上場廃止リスクに直面する可能性があるため、その動向が注目されます。
配信元情報
- 番組名:ニュースコネクト
- タイトル:先の見えない不動産危機、中国不動産大手の恒大集団が上場廃止
- 配信日:2025-08-26


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