「仕事と育児の両立」という言葉は、30年以上前から叫ばれていますが、今なお多くの働く親が困難や悩みを抱えていますね😩。特に、長時間労働が前提とされる日本の正社員制度のもとでは、育児と仕事を両立できる女性は「スーパーウーマンに限られる」という専門家の指摘は、心に響きます。本日のニュースレターでは、女性だけでなく、男性や子供の視点から、両立の裏に隠された「誰かが諦めている現実」を深掘りします。日本の古い労働文化や賃金構造が、いかにして私たちの働き方と家庭生活を制約しているのか、一緒に考えてみましょう😊✨。
👩👧👦長時間労働前提の社会で女性が直面する「スーパーウーマン」の呪縛
慶応の寺井先生の言葉がきっかけで生まれた「スーパーウーマン」の呪縛。これは、「長時間労働が前提の正社員制度のもとで育児と仕事を両立できる女性はスーパーウーマンに限られる」という厳しい現実を指しています。
両立のリアル:「80%のパフォーマンス」の難しさ
育児と仕事を両立しようとするとき、多くの人が「出産前の80%くらいは働けるだろう」と考えがちですが、実際は1日24時間という制約の中で、そのパフォーマンスを発揮するのは極めて困難です。
大手のゼネコンで花型部署にいた女性の事例では、子供ができて仕事量を回せなくなりメンタルを崩してしまったそうです。彼女の「昔の自分と比べちゃダメで、子供を抱えながら働く1年生なんだからしょうがない」という言葉は、誰もが両立の裏で、何かしらのキャリアや自己評価を諦めている現実を物語っています。
ここがポイント👌
「スーパーウーマン」の呪縛は、長時間労働が「正社員の前提」として構造的に残っているため、女性のキャリア継続を阻む最大の要因となっています。育児中の女性が花形ポストを諦めざるを得ないのは、個人の能力の問題ではなく、企業の労働時間に対する旧態依然とした価値観が原因であることを明確に示しています。
💸子育て中の活躍を阻む「割増賃金率」の問題
長時間労働を前提とする男性側の働き方を見直さずに、女性の働き方を男性側に合わせるような制度設計をしてきたことが、日本の長年の課題だと指摘されています。
残業を抑制しない日本の構造:割増賃金率の低さ
この構造を変える鍵の一つが、残業代の割増賃金率です。
日本では、月60時間を超えるまでの残業代は、25%しか上乗せされません。
これに対し、アメリカ、イギリス、フランスでは、週8時間を超えると50%が上乗せされます。
専門家は、新規で人を採用するよりも今いる社員に残業させた方が安く済む現状を是正するため、割増賃金率を、新規雇用と残業の人件費が均衡するラインである44%まで引き上げるべきだと訴えています。「安い残業代で働かせることが可能だからこそ、残業を解消するという切迫感が薄くなる」という、日本が抱える構造的な問題です。
労働環境の国際比較:短時間正社員制度の可能性
また、1日8時間・週5日勤務という正社員の前提そのものを見直す動きも重要です。スイスでは「60%(週3日勤務)」などで働くのが当たり前で、100%(週5日)働く人はそんなにいないとのことです。介護や子育て、あるいは複業など、生活のバリエーションが増えている現代においては、短時間正社員制度など、多様な働き方を広げることが求められています。
ここがポイント👌
日本の低い残業代割増賃金率(25%)は、長時間労働の温床であり、働き方改革を阻む最大の要因です。この構造的な問題を解決しない限り、短時間勤務やフレックスタイム制度があっても、「バリバリ残業できる同僚」との昇進競争に勝てず、子育て中の人が最前線ポストを諦める状況は変わりません。割増賃金率の引き上げは、企業に残業解消への切迫感を与えるために不可欠です。
👨👦👦令和男子が抱える「稼ぐべき」という呪縛と保育のリアル
仕事と育児の両立はもはや女性だけの問題ではなく、「令和男子」と呼ばれる若い男性もまた、独自の課題を抱えています。
根強い「男性が稼ぐべき」というアンコンシャスバイアス
その根底にあるのが、「男性が稼ぐべき」という根強い意識です。内閣府の調査では、「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」と答えた割合が、男女共に4割を超えていたことが指摘されています。
さらに、女性側のパートナー選びの条件として、経済力があることは大前提の上で、家事も育児もできるハイスペック男子しか選ばれなくなっているという状況も耳にするそうです。記事では、日本の男女の賃金格差を解消することが、男性が金銭面での責任を抱え込まず、育児や家事に参加しやすい環境を生むのではないかと提言されています。
「保育は誰のため?」子供にとって最善の利益とは
待機児童問題はほぼ解消されましたが、その一方で、大人の働く時間(1日8時間)よりも長く子供たちが保育園にいるため、保育士の負担は増大し、子供たちが家族と過ごせる時間は短くなりました。
大人の働き方と子供の最善の利益とのバランスをとるためには、まず、現場を支える保育士の労働負荷と賃金を改善すること、そして保護者ができるだけ早く帰れる職場環境を整えることの二つを両輪で進めていくべきだと提言されています。
ここがポイント👌
「令和男子」が抱える呪縛は、アンコンシャスバイアスと賃金格差という二重の構造から生まれています。この呪縛から解放されなければ、男性の育児参加は本質的に進みません。また、保育園の役割は、単なる労働力の補完ではなく、子供の最善の利益を追求する場であるという原点に立ち返るためには、保育士の待遇改善と保護者の労働時間短縮が欠かせません。
この記事をまとめると…
- 長時間労働が前提の正社員制度のもとでは、女性は「スーパーウーマン」でなければ仕事と育児の両立が困難であり、多くの人がキャリアの諦めを経験しています。
- 残業を抑制できない構造的な問題は、月60時間までの残業代の低い割増賃金率(25%)にあり、企業に残業解消の切迫感が薄いことが原因です。
- 若い男性も「男性が稼ぐべき」というアンコンシャスバイアスに縛られており、この意識と賃金格差が両立を阻んでいます。
- 保育園の課題解決と子供の最善の利益のためには、保育士の待遇改善と保護者の労働時間短縮が両輪で必要です。
- これらの問題は、子育て世代だけでなく「誰もが当事者」として取り組むべき構造改革であると提言されています。
配信元情報
- 番組名:ながら日経
- タイトル:スーパーウーマンと令和男子〜with NIKKEI
- 配信日:2025-10-03


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